
今回は、近年注目されている「口腔常在菌(オーラルマイクロバイオーム)」の考え方
と、その健やかなバランスを保つためのセルフケアの実践法を紹介します。
「殺菌」よりも「育菌」へ――。当院では、口の中をただ除菌するのではなく、善玉菌
を育てるケアを重視しています。
1 強すぎる殺菌はNG? マウスウォッシュの選び方
市販のアルコール入りマウスウォッシュは、悪玉菌だけでなく、善玉菌までも除菌して
しまうことがあります。
・アルコールフリーのナチュラルマウスウォッシュの使用
・歯肉も一緒にやさしく磨ける「Tooth and Gumブラシ」の使用
歯肉をやさしくマッサージすることで血流が促進され、歯周病予防にもつながります。
2 キシリトールを日常に取り入れる
むし歯予防で知られるキシリトールは、常在菌バランスにもよい影響を与えると言われ
ています。特に食後と就寝前の使用がおすすめです。
当院が推奨する使用法は以下の通り:
・食後すぐにキシリトールタブレットまたはガムを1~2個
・歯ブラシは30分以上あけてから
・就寝前にはタブレット1個
3 舌の表面も清潔に ― 舌クリーニングのすすめ
舌の表面は、口腔常在菌の主要な居場所の一つです。朝と夜の舌クリーナー使用を習慣
化しましょう。
・強くこすらず、やさしく数回スライドするだけ
・奥から前に軽い力で、強く磨いて傷をつけたら元子もありません
・取りすぎも禁物。白い舌苔がすべて悪いわけではありません
4 鼻呼吸が基本!睡眠中のケアも重要です
口呼吸は口腔内の乾燥を招き、悪玉菌が繁殖しやすくなります。
特に睡眠中の口呼吸対策として、当院ではマウステープの使用を提案しています。
・寝る前に口にやさしく貼る専用テープを使用
・鼻炎がある場合は、耳鼻科との連携で鼻呼吸しやすい環境づくりを
5 オーラルプロバイオティクスを使ってみる
最近注目されているのが、「オーラルプロバイオティクス」と呼ばれる善玉菌入りのタ
ブレットやスプレーです。
・むし歯菌や歯周病菌を抑え、善玉菌の環境をサポート
・口臭ケアにも効果が期待されています
6 歯みがき粉や道具も見直してみる
毎日使う歯みがき粉や歯ブラシにも配慮が必要です。
・フッ素無配合や天然成分配合のペーストを希望者に案内
・歯肉にやさしいブラシを推奨
・デンタルフロスの併用で、プラークコントロールを強化
口腔常在菌を大切にすることは、むし歯や歯周病だけでなく、全身の健康リスク低下に
もつながります。
ヨコハマデンタルクリニックでは、一人ひとりの生活に寄り添ったセルフケア提案を
行っています。